こんにちはユレオです。
私は20年ぶりにバイクに乗っているリターンライダーで、Vストローム250を2019年12月に新車で購入しました。
早いもので、もうすぐ2年半乗っているということもあり、いろいろな箇所にガタが出るようになってきましたが、部品や消耗品の交換をするなどの対応をして、大切に乗っています。
しかし、先日バイクにとって交換が効かないパーツとも言える「エンジン」に大きなトラブルが発生したことで、1ヶ月近く修理に預ける事態となりました。
本日はVストローム250のエンジンが壊れた要因や、エンジンをオーバーホールして復帰するまでの流れを備忘録として記事にまとめています。
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◆記事の目次◆
本記事の内容
- セルが回らずエンジンが始動できなくなった。
- エンジンのオーバーホールを行った。
- オーバーホールの費用や不具合の原因について。
本記事ではVストローム250のエンジンに不具合が発生し、原因探るためにバイク屋に持ち込んでエンジンのオーバーホールをすることになった出来事をまとめています。
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Vストローム250は安定した走りの壊れにくいバイク
引用元:https://www1.suzuki.co.jp/motor/lineup/dl250rlzm1/
まずはVストローム250を知らない方に簡単にバイクの特徴をお話したいと思います。
スズキ(SUZUKI)Vストローム250は、遊び心があるデザインと低~中速域が強いロングストローク設計のエンジンを搭載した250ccクラスでは最高の積載量を持つバイクで、標準で以下のようなオプションが付いています。
- ウインドスクリーン
- ナックルカバー
- センタースタンド
- サイドケースアタッチメント
バイクの車種としては「アドベンチャーツアラー」になり、ウインドスクリーンやナックルカバーが始めから付いていることから、走行時の快適性が高くて長距離を乗っても疲れないようになっています。
エンジンはGSX250Rをベースにしていることから、低速が非常に扱いやすくなっており、Vストローム250ではさらに低~中速重視のギアにアレンジしていることで、ゆっくりトコトコと走ったり、坂がきつい峠などを安定して走れるバイクです。
また、燃費が非常に良くて、リッター30km/h以上は当たり前で、条件が良ければリッター40km/h近くにもなることや、タンクの容量が17ℓと250ccクラスではかなりの容量となっており、ガソリンを満タンにすれば、東京-大阪間を無給油で走ることが出来ます。
そして、スズキのエンジンはトラブルも少ないことでも定評があり、以下のようなスペックとなっています。
- エンジン形式:水冷4ストSOHC2バルブ並列2気筒
- 総排気量:248㏄
- ボア×ストローク:53.5×55.2㎜
- 圧縮比:11.5
- 最高出力:18kW(24PS)/8,000rpm
- 最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/6,500rpm
私のVストローム250では、これまでに一度走行中にエンジンが停止するトラブルがありましたが、その後は大きな問題もなく快適なバイクライフを送っていました。
しかし、先日「神奈川Vストロームミーティング2023」に行った際に、エンジンが始動しなくなるトラブルが発生しました。
Vストローム250のエンジンが死亡?動かなくなった。
私は山梨県で開催された「神奈川Vストロームミーティング2023」に参加するために、長野県に前日入りしていました。
長野県の早朝は非常に寒く、気温も0℃であったことからエンジンを温めてから走り出そうとセルスイッチを押したところ、エンジンを始動するどころか、なんの反応もありませんでした。
よく冷えた冬場はエンジンが始動しにくいことはありますが、セルスイッチを押しても反応が無いというのは初めてです。
しかもこの日は自宅から500kmほど離れた場所で起きたことから、最悪レッカーに依頼すことになるかも…と不安が過ぎりました。
しかし、その後は何とかアクセルを吹かし気味でセルスイッチを押したりしたところ、無事にエンジンを始動させることができたので、目的地に向けて進むことにしました。
ただ、この時点ですでに以下のような問題が出ていました。
- アクセルを吹かせ気味にしないと、信号で停止した際にエンジンが止まる。
- 燃費が著しく低下し、普段の6割くらいに落ちた。
- 明らかにバイクのパワーが落ちた。
- アクセルをどれだけ回してもスピードが上がらない。
- 右側のエキパイを触ったところ、温度が若干低い。
法定速度程度のスピードは出るのですが、燃費がリッター26km/hまで落ちたことから、エンジンに何らかの異常が起きているのは明らかでした。
ただ、その日は地元ではなく知り合いも誰もいない状況だったので、一旦当初の目的地であった「神奈川Vストロームミーティング2023」の会場に向かうことにしました。
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Vストローム250のエンジンが不調を調べた
その後、無事に山梨県の道の駅 富士川で開催された「神奈川Vストロームミーティング2023」の会場にたどり着くことができました。
この時エンジンが温まってきたこともあり、アクセルを吹かし気味にしないとエンジンが停止するということはなかったのですが、エンジンのアイドリングが不安定で「ボボボボボッ」ではなく「ボボボーボ・ボーボボッ」という感じでした。
エンジンが不調ということで不安がありつつも、せっかく600kmほど離れた旅の目的地でもある「神奈川Vストロームミーティング2023」に参加できたので、楽しむことにしました。
神奈川Vストロームミーティング2023については以下の動画で詳しく紹介しています。
会場には同じVストローム乗りの方や、Vストローム関連の知り合いの方がおられたので、何人かに調子の悪くなっているエンジンを見てもらったところ、以下のようなコメントを頂きました。
- 明らかにエンジンのアイドリングがおかしい。不具合があるのは確実。
- プラグの不具合で点火していないのではないか。
- イグニッションコイルの不具合で電流が流れていないのではないか。
- インジェクションの不具合でガソリンが噴射されていないのではないか。
プラグとはガソリンに発火する点火装置で、イグニッションコイルとはプラグに放電するための高電圧を作り出す変圧器になります。
そして、インジェクションはガソリンを噴出するための装置で、エンジンの不調はおおむねこれらの3つが原因という話を伺えました。
そして、「エンジンが温まると不調が解消される」点から、可能性としてイグニッションコイルの不具合が高いとのご意見を頂きました。
そして、その日は「神奈川Vストロームミーティング2023」を楽しみ、旅の次の目的地である長野県長野市まで移動しました。
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翌朝同じようにエンジンが始動しなかった
エンジンの不調を認識しつつも、自走できるので何とかバイクの旅の続けたいと長野県長野市まで北上し、その日は予定していた宿泊地に泊まることにしました。
ですが、翌日-4℃と大変冷え込んだ朝を迎え、前日のエンジンがかからなかった不安がよぎる中、セルスイッチを押したところ、案の定エンジンを始動できませんでした。
ただ、冷えているとエンジンのかかりが悪いことは前日で学習していたので、お湯をエンジンにかけて温めたところ、無事にエンジンを始動させることができました。
そしてエンジンは始動できたものの、この状態でバイクの旅を続けるのは不安であったことから、残念ながら自宅へ引き返すことにしました。
おはようございます。
悲しいお知らせが…
Vストローム250のエンジン不調のため、今回の旅は長野で断念することになりました。一昨日から調子が悪く、今朝もなんとかエンジンがかかる感じでした。
自走できるうちに帰路につきます。イエマデカケレルカナー。゚(゚´ω`゚)゚。#Vストローム250 pic.twitter.com/lAFJu9TMrX
— タマシイ ユレオ@【バイクの旅人】 (@tamashii_yusa) April 9, 2023
その後はスピードが出ず燃費が著しく悪い状態のVストローム250で高速道路を500kmほど走って無事に自宅近所のバイク購入店に持ち込むことができました。
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バイク屋に持ち込んで原因を調べてもらった
何とか自走してバイク屋に持ち込むことができたので、早速不具合の説明を行い、実際にエンジンのアイドリングがおかしいところを見ていただき、そのまま修理に出すことになりました。
また、修理の際にVストロームミーティングで教えていただいた以下の可能性もバイク屋に伝えました。
- プラグの不具合で点火していないのではないか。
- イグニッションコイルの不具合で電流が流れていないのではないか。
- インジェクションの不具合でガソリンが噴射されていないのではないか。
あくまでVストロームのオーナーさんからいただいた情報なので、参考程度に聞いて頂きましたが、バイク屋からもエンジンで実際に起きている不具合の状況や、冷えていると調子が悪く、温まると調子が戻るのであればイグニッションコイルの不具合の可能性が考えられるとのことコメントをいただいたので、楽観視していました。
ところが、問題の解決は一筋縄では行かず、原因の特定に右往左往することになります。
1週間たってもエンジンの不具合原因が特定できない
4月の上旬にバイク屋に修理に預け、1週間くらいで直るかと思っていたのですが、その後バイク屋からは連絡がなく、気になってこちらから電話を掛けたところ、思わぬ返答がありました。
「神奈川Vストロームミーティング2023」の会場でいろんな方からご意見を頂き、ほぼほぼ原因がプラグ、イグニッションコイル、インジェクションの3つに絞れたかと安心していたのですが、どうやら今回のエンジンの不調とは関係ないことがわかりました。
そして、バイク屋に調べて頂いたことで分かったことは「右側のプラグがたまに点火していない。」ということでした。
その後、バイク屋からいろいろと事情聴取(?)されてバイクの乗り方の癖や、普段どんな感じで乗っているのかなど、結構細かな内容を聞かれました。
私は週末ライダーであることから、長距離を走るロングツーリングが多く、またソロキャンプを趣味にしていることから、荷物を多く積んでいるという話をしました。
そういった情報を踏まえて、再度エンジンの不具合の原因を調べてもらうことにしました。
様々なパーツを新品に交換することになった
バイク屋は今回の不具合はプラグが点火しないことが原因で、電気系統が要因で起きていると考えたことから、バッテリーから電気系カスタムパーツへの通電を止めて調べたり、ハーネス・ワイヤリングを新品に交換するなど、バイクを大がかりにバラすことになりました。
その後はかなりいろいろと調べて頂き、Vストローム250のコンピューターを交換して試したり、状態の良いエキパイを差し替えて試すなど、いろいろやって頂きました。
しかしながらエンジンの不具合は解消することは無く、また不具合の原因を特定する手がかかりが得られないことから、最終的な判断として、エンジンを開けてオーバーホールすることにしました。
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バイクのエンジンをオーバーホールすることになった
当初はイグニッションコイルの不具合が原因だと楽観視していたのですが、原因が特定できないことからついにはオーバーホールという最終手段を取ることになりました。
オーバーホールの目的はエンジンを新品と同じ性能に取り戻すことで、エンジンを分解して徹底的に洗浄と整備を行い、摩耗や故障した部品を修理または交換するプロセスになります。
一般的に、バイクのエンジンをオーバーホールする場合、以下のような作業が含まれます。
- 分解と清掃: エンジンを分解し、各部品を清掃します。これにより、部品の状態や損傷の程度を確認することができます。
- 部品の交換: 摩耗や損傷のある部品を交換します。これには、ピストン、ピストンリング、バルブ、クランクシャフトなどが含まれます。
- 摩耗部品の再加工: 一部の部品は、研磨や研削などの再加工を受けることがあります。これにより、部品の寸法や表面仕上げを正確に修正することができます。
- シールやガスケットの交換: エンジン内部のシールやガスケットが劣化している場合は、交換します。これにより、エンジンの密閉性が確保されます。
- 再組み立てと調整: 修理や交換が完了した部品を再び組み立てます。また、バルブクリアランスや点火時期などの調整も行われます。
オーバーホールは、エンジンの寿命を延ばしてパフォーマンスを回復させるための効果的な手段で、エンジンの不具合を解消する最終手段ともいえます。
オーバーホールは手間がかかることから工賃が高額になりがちで、気軽に依頼できるものではありませんが、エンジンの不具合が特定できないことから、エンジンのオーバーホールに踏み切ることとなりました。
Vストローム250のエンジンの不具合を特定できた!
GWも終わり、バイク屋に預けて1ヶ月を経った頃、そろそろ続報が知りたかったので電話を掛けたところ、ちょうどタイミングよく不具合の原因がわかり、今組み上げているとの返信を頂きました。
翌日バイク屋を訪れて、今回の不具合の原因を伺ったところ、次のような回答を頂きました。
- エンジンの不具合は「バルブシート」が変形していたことが直接の原因。
- バルブシートが変形する要因はいくつかあるが、その一つにカーボン(煤)がエンジン内に溜まることでカーボン噛みが発生し起因となる。
- 今回はバルブシートの交換だけでなく、ピストン、バルブスプリングなど、エンジン駆動部分を丸ごと交換した。
バルブシートとはエンジンの吸気弁、排気弁の弁座で、弁(バルブ)と接触して燃焼室の気密を保つ部品となります。
具体的には以下の図の「11」のパーツになります。
このバルブシートが変形したことにより、燃焼ガスがインテークマニホールドへ漏れるのを防げなくなったことから、プラグで点火しても爆発が起きず、アイドリングが不安定になっているということがわかりました。
無事に原因が特定できましたが、特定するためにエンジンをオーバーホールすることになり様々な部品を新品に取り替えていただくことになりました。
バルブシートが変形する要因について
今回の不具合箇所が特定できたのですが、このバルブシートと呼ばれるパーツが変形する原因はなんでしょうか?
バイク屋に伺ったところバルブシートが変形する要因はいくつかあるが、その一つにカーボン(煤)がエンジン内に溜まることでカーボン噛みが発生し起因となることがあるそうです。
そして、私のVストローム250のエンジン内には通常よりカーボン(煤)が溜まっており、カーボン噛みが起きていました。
カーボン(煤)が溜まる要因や、バルブシートが変形する要因にどういったものがあるのかを伺ったところ次のような回答を頂きました。
- ガソリンに不純物が混ざっていた。
- 長距離を走行する際にエンジンを休ませずに走った。
- エンジンの回転数をレッドゾーンまで上げて長時間走った。
カーボン(煤)が溜まる要因として「①」は街中のガソリンスタンドを使っているのであれば、心配はないとの話で、可能性としては「②」の休憩を挟まず長距離を走っていることでエンジンに負荷がかかったのではということでした。
ただ、どれも決定的な要因ではなくカーボン(煤)が溜まらないようにガソリン添加剤を定期的に使ったり、長距離を走る際はエンジンを休ませるために休憩を多めに取るようにとのアドバイスをいただきました。
エンジンのオーバーホール費用はいくら?
さて、無事にVストローム250のエンジンの調子が新車のごとく蘇ったわけですが、修理にいくらかかったでのでしょうか?
今回原因が特定されるまで、様々なパーツ交換をしていただいたことから、修理箇所は多岐にわたりました。
上記はエンジンのオーバーホール以外の工賃などを含む料金ですが、シリンダやハーネス・ワイヤリングなどの高額なパーツを含めた内容で、税込み価格が246,433円となっています。
しかし、今回はバイク屋のご厚意で、原因を特定するまでにかかったパーツの交換費用は含まないということで、実際に請求をいただいた料金は以下になります。
実際の不具合箇所の修理に必要な部品のみの請求で、合計で90,772円と非常にお安く仕上げていただくことになりました。
YouTubeでバイクのカスタム動画を公開中
バイクでのツーリングやカスタムの記録を残すために、YouTubeチャンネル「バイクの旅人」を立ち上げました。
ツーリングの楽しさやバイクのカスタムなどの紹介するチャンネルで、Vストローム250の様々なカスタムの詳細を説明した動画を公開しています。
もしよろしければチャンネル登録していただけると励みになります。
一本一本魂を込めて動画編集していますので、ご覧いただけると嬉しいです。
最後に
ここまでVストローム250のエンジンが壊れた要因や、エンジンをオーバーホールして復帰するまでの流れを備忘録として記事にまとめました。
当初は「プラグ」「イグニッションコイル」「インジェクション」のいずれかのパーツの不具合かと楽観視していましたが、バイク屋に預けて調べて頂いたところ、エンジンをオーバーホールする事態に発展しました。
原因がなかなか分からず特定するのに1ヶ月ほどかかりましたが、最終的にはしっかりと問題を解決していただけたので、バイク屋には頭が上がりません。
ただ、バイク屋の話ではこのエンジンの不具合はGSX250RでもVストローム250でも聞いたことがないとのことで、私のような事例はめったに起こらないケースのようです。
エンジンの中身が一新されたことから、しばらくは慣らし運転になりますが、引き続き大切に乗り続けたいと思います。