こんにちはユレオです。
日々多くの方が仕事をして糧を稼ぎ、そして家族を養い生活をしているかと思います。
生きていくうえでお金を稼ぐということは大切で、労働の対価として給料を得るサラリーマンと呼ばれる方が日本の労働力を支えています。
会社がお金を稼ぐことを目的とした組織である以上、そこで働くサラリーマンもお金を稼ぐことを目的として仕事をしているわけですが、人はただ機械のように働くわけではなく、自身の成長や自己実現といったものを持ち、それを仕事の中で実現しようとしている方が大半です。
特に「この仕事をしたい!」と考えていた仕事に就いた方や、クリエィティブな仕事をしている方は自身の成長や自己実現といったものを強く持っています。
その為、「この仕事をしたい!」と考えていた仕事やクリエイティブな仕事に就いている方は、たとえお金が稼げる仕事だったとしても自身の成長や自己実現が出来ない仕事内容では、所属している会社を見限り離職するということは珍しくはありません。
本日は多くのゲームクリエイターが持つ自身の成長や自己実現についてと、ゲーム業界の人材の流動性の高さの理由についてお話したいと思います。
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◆記事の目次◆
ゲームクリエイターはお金よりも仕事のやりがいを重視する方が多い
世の中には多くの仕事がありますが、その中で「自分がやりたい仕事」に就けている方はあまり多くはなく、やりたい仕事ができることは幸せなことです。
ゲームクリエイターの多くがやりたい仕事として就労しており、いやいやながら食べていくために仕方が無く仕事をしているという方はほぼ皆無です。
仕事をする中で重視するポイントが一般的なサラリーマンよりも「やりがい」に比重を置く方が多く、自身の成長や自己実現といったものを大切にしています。
その為、仕事を通して自身の成長や自己実現が出来ないとなると、その仕事を続ける理由がなくなり、新たな成長の場を求めて会社を去っていくことも珍しくはありません。
仕事を通して自身の成長や自己実現を得る方法は様々なものがあるかと思いますが、ゲームクリエイターでいえば「世の中に自分が作ったゲームを出す」という実績を積む自己実現があり、そうしたことを実現していくことで自身の成長へと繋がります。
この「世の中に自分が作ったゲームを出す」ことの重要性についてお話したいと思いますが、その前にゲーム業界で働く友人の身に起きた不幸な出来事のお話をしたいと思います。
ゲーム制作ではパブリッシャ―側とデベロッパー側で立場の違いが存在する
ゲーム制作の現場には、パブリッシャ―側とデベロッパー側の大きく分けて2つの立場があります。
パブリッシャーとはゲームを発売する業者で、デベロッパーとは実際のゲームを開発する業者になります。
ゲームを作るには資金が必要で、ゲーム開発の技術がある会社でも資金が無ければタイトルを発売するどころか会社の維持や人材の確保をすることもままなりません。
パブリッシャーは資金を提供することで、自社ブランドで発売するタイトルが確保出来てメーカーの評価やイメージを上げて、利益を得ることが出来ます。
また、パブリッシャーが自社のIP(※)を持つ場合、ゲームタイトルの販売による利益以外に、グッズ販売等でIPを活用することで新たな収益を得たりします。
*intellectual property(インテレクチュアルプロパティ) = 知的財産
簡単にパブリッシャーとデベロッパーの2つの立場を説明いたしましたが、皆様すでにお気づきの通り2つの立場は完全な対等ではなく、たとえ「下請法(※)」で守られていたとしてもパブリッシャーとデベロッパーで上下関係がどうしても存在します。
*下請法とは:
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は,親事業者による下請事業者に対する優越的地 位の濫用行為を取り締まるために制定された特別の法律です。 例えば,下請事業者に責任がないのに,親事業者が発注後に下請代金の額を減じること は禁じられています。
多くの場合はデベロッパーは資金を提供してくれるパブリッシャーの方針に従い、パブリッシャーの意向に沿ったゲーム制作を行います。
パブリッシャーの気まぐれによりデベロッパーの存続の危機が起こることもある
これはセミが鳴くちょうど暑い季節だったと思います。以前仕事でお世話になり、今は別のゲーム会社で働く桃瀬さんからLINEで連絡が入りました。
ユレオー、今度の金曜日の夜開いてる?飯でも行こう!
おおー、桃瀬さんお久しぶりです。良いですねー行きましょう。そろそろ忙しくなる時期とおっしゃってましたが、仕事は順調ですか?
まーそのことなんだけど、金曜日に詳しく話すわ。
LINEで一通りのやり取りをしたあと、「ああ~これはなんかあるなー」と思って迎えた金曜日、桃瀬さんは少し疲れている様子で元気があまりないように見えました。
桃瀬さんは社員数10~20人の中小のゲーム会社で仕事をされているプログラマーです。
話を聞くと、今関わっているプロジェクトが大変なことになっており、会社組織も危うくなっているとのことでした。
数か月前には順調に進んでいると聞いていたのに何があったのでしょうか?
突然パブリッシャーの方針が代わった
桃瀬さんの話が長丁場になることが予想できたので、少し駅から離れた場末の居酒屋に入り話を聞くことにしました。
守秘義務のためプロジェクトのタイトル名や対応ハード、ゲームの詳細な内容等は聞けませんでしたが、桃瀬さんの身に何が起きているのかを話してくれました。
この前飲んだ時は仕事は順調に進んでいるとおっしゃってませんでしたっけ?
うーん、そうなんだけど、、、最近パブリッシャー側のプロデューサーが変わってねー
へー、そんなタイミングで変わることもあるんですね。
いや、普通は無いものだけど普通じゃないことが起きたわ……もう俺は限界かもしれない……
話を聞くとプロジェクトが本格的に動き出したところで、突然パブリッシャーのプロデューサを担当されていた方が外れて、20代のゲーム制作経験が浅い方がプロデューサーになったとのことでした。
元プロデューサーは会社を退社されたそうで、どうも引き継ぎなどが万全ではない状態で新しいプロデューサが就任したようです。
ここまでならよくある事かもしれませんが、この新任プロデューサーはこれまでの方針とは異なり、頻繁に会社を訪れては仕様の変更や現場に口を出すため、現場で作業が停滞するようになりました。
さらに、新任プロデューサーはゲーム制作経験が浅いこともあり、何を変更するとどれくらいのコストがかかるかの見積もりが甘くて、ゲームの根幹にかかわるような大きな変更の指示も珍しくはなく、作り直しが頻発してスケジュールが破綻しているとのことでした。
桃瀬さんは会社の上司に現状を何とかしてほしいとお願いしたそうですが、改善することは無かったそうです。
そんなある日、プロジェクトを揺るがす出来事がありました。
新任プロデューサーが会社を訪れ開発メンバーを集めて、ゲームの方針の変更を指示したのです。
プロデューサーさん、開発メンバーを集めました。仕様の変更ですか?
仕様の変更というか、昨日「BASTARD!!」を読んだんだよね。すごく面白くてさー。あんな世界観のゲームにしてもらえない?
・・・えっと主人公のデザインのお話ですか?
いや、ゲーム全体の雰囲気を「BASTARD!!」みたいにしてほしい。
私はプロジェクトの詳細を聞いていない為、この指示がどれくらい大変な仕様変更になるのか分かりませんでしたが、桃瀬さんのお話では、ほぼ作り直しを行うレベルの指示だったようです。
BASTARD!!をご存知でない方に簡単に説明しますと「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」は、萩原一至による漫画作品で、1992年にはOVAでアニメ化しており、戦士や魔物、強大な力を持つ「邪神」、天使や悪魔らと戦うバトルストーリーのダークファンタジー作品です。
現在は27巻まで出ており29年間という長期連載中の漫画です。
このプロデューサーの発言で現場の士気はがた落ちで、離職を考えるスタッフが現れ、会社の存続を揺るがす事態になったそうです。
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ここから本題、人材の流動性とクリエイター自身の実績について
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
もしパブリッシャーから潤沢な開発資金が出続けて、納得がいくまで作り直すのであれば、デベロッパーは資金面では問題は無く、従業員に給料を払い開発を続けることが出来ます。
しかしそこで働くクリエイター個人は年単位で無駄な時間を過ごすことになります。
ゲーム業界ではまれに、業界歴5年だけどタイトルを1本も出せていないという方もおられます。
それはその人の個人の才能の問題ではなく長年開発を続けていたプロジェクトが中止になり、タイトルが世に出ることが無かったということが2、3度続くとあり得る話で、けっして珍しいお話ではありません。
基本的にゲーム業界ではゲームクリエイター個人を評価する際に、その方がこれまで「何のタイトルに携わってきたか」という制作実績を重視します。
いくら腕の立つクリエイターでも「制作実績」が無ければ評価につながりません。
そのため、プロジェクトの方針が定まらなかったり、無駄に開発期間が伸び続けるプロジェクトにいるゲームクリエイターは「あっ!このプロジェクトだめだなー」と感じたら見切りの良い人は早々と立ち去ります。
その後、桃瀬さんは会社を辞められました
その日は場末の居酒屋で桃瀬さんの苦労話や愚痴を終電近くまで聞くことになりました。
世の中さまざまなパブリッシャーがありますが、今回の話で出てきたパブリッシャーは資金に余程の余裕があるのか、すごいお金の使い方と人の使い方をしてることに驚きました。
その後どうなったかというと半年したあたりで桃瀬さんも含めた多くの方が会社を辞められたと風の噂で知りました。
心配して桃瀬さんに電話した所、少し疲れたのでちょっと休んでから就職活動を始められるとのことで、しばらくゆっくりするとのことでした。
百瀬さんは半年後に就職活動を行い、無事に同業他社に就職して今は元気に仕事をされています。
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最後に
ここまで多くのゲームクリエイターが持つ自身の成長や自己実現についてと、ゲーム業界の人材の流動性の高さの理由についてお話ししてきました。
ゲーム業界は他の業界に比べると比較的人材の流動性の高い業界だと思います。
その理由は「自分がやりたい仕事」として就労している方が大半で、仕事をする中で重視するポイントが一般的なサラリーマンよりも「やりがい」に比重を置く方が多く、自身の成長や自己実現といったものを大切にしています。
その為仕事を通して自身の成長や自己実現が出来ないとなると、その仕事を続ける理由がなくなり、プロジェクトや所属する会社がもうダメだと思うと簡単に辞めていき、他の業種よりも帰属意識や愛社精神が低いとも言えます。
プロジェクトの資金が潤沢で開発環境が整っているというだけでは、なかなか優秀な人材を引き留めれないといのが実情です。
やりたいことを仕事とするゲームクリエイターは、世のサラリーマンから見れば贅沢な仕事をしているかもしれませんが、今日お話したような自己実現と実績を作るために様々な苦労と決断を行いながら仕事をしています。
もしゲーム業界で仕事をしたいと考えている方がおられましたら、ゲーム業界ではこのような一面もあると心の片隅に置いて頂ければと思います。
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